ルイス・ガースナー著の「巨象も踊る」から示唆

今日は、読書記録を書きます。

 

何の本か

ルイス・ガースナー著の「巨象も踊る」。

 

この本は、プロ経営者としてITの巨人IBMを再生させる物語である。マッキンゼー出身で数社で経営職を経験したガースナー氏が、自ら、再生について語った本。

 

何を知りたかったか。

今回は、課題ドリブンな読み方をしてみた。漫然と端から端まで読むのではなく、知りたいポイントを明確にして必要な部分を拾って読む、という読み方。

今回知りたいと思ったポイントは

  • 技術を知らずに、どうして経営できたのか。どうやったのか。

に尽きる。

と言うのも、

・自分も、現場の詳細を知らずにマネージする立場にある

・稲盛氏は、稲盛和夫の実学と言う本で、現場を知らないとダメ、といっている。

「経営者たるものは、(中略)、部下のやっているミクロの仕事も十分わかっていなければ、完璧な仕事はできない(P102)」

これに反するからである。

 

答えは何だったか。

戦略的な意思決定を通じて業績を向上させた。ただしこのスタイルは大改革の段階だから可能だった。

  • 行ったことは、企業文化の刷新、注力分野特定とそれ以外の売却、プライシングの変更といった戦略的意思決定である(プライシングはマーケティング戦術の一つという位置づけとも見れますが、稲盛和夫の実学では、「値付けは経営」と言われています。ここでは戦略的意思決定の一つとしてカウントしました。)これらは特に、経営者としての専門性が必要な仕事である。
  • 「常に部外者であった」という記述がある。推測するに、外部からのCEO&技術を知らずには、完全に入り込んだ経営はできない、と言うことではないか。とすると、ガースナー氏は、いわゆる外部コンサルタント(古巣のマッキンゼーしかり)のように、変革者としての価値を発揮した、と言えるのではないか。
  • だとすれば、経営トップに求められる資質は会社の状況によって異なり、特に変革の際は、現場知識よりも、戦略策定スキルが価値を出す、ということではないか。

 

新しく知りたいポイントは生まれたか。

Yes。

IBMが以下にコンピュータ業界を牽引してきたかが分かる。MicrosoftIntelIBMが譲ったから生まれただとか、多くの基礎技術(リレーショナルDB、ネットワーク用機器、UNIX用プロセッサ、など)はIBMの研究所で生まれた、と言う記述があった。IT業界における多くの著名人がIBM出身であることも踏まえると、IBMが業界のリーダーであり、IBMの歴史がコンピュータの歴史と言えそうだ。

IBMしかりIT業界がどう生まれて、どう育ってきて、どこに向かっているのか、という業界動向に対する興味が湧いた。近いうちに調べてみたい。

 

以上