感情面を考慮したマネジメントの方法

マネジメントでは感情も大事

一般にマネジメントと言うと、ハード面が強調されがちです。例えばPMBOKという体系があって、気にすべき観点は、Scope・Time・Quality・Cost・など、といった具合。

ただ実際にマネジメントは人との関わりでもあるため、感情というソフトな面も考慮する必要があるでしょう。ハード面が強調されるあまり、ここがよく見過ごされている部分だと思います。

そこでマネジメントにおける感情についての文章を読んで、考えてみました。

 

感情はポジティブならいい、と言うものではない。

今回読んだのはダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビューの2016年7月号における「職場環境と感情の理論 感情のメカニズムを理解してこそ、組織は動き出す」です。

最新の経営学を連載形式で紹介しているシリーズです。2016年7月号では、ちょうど感情と情緒における研究の紹介でした。内容については読んでいただくとして、私なりにまとめると

  • ポジティブな感情は概ね組織にプラスである。仕事への満足度、態度、組織パフォーマンスに対して正の影響がある。
  • ただし、ネガティブな感情がプラスになることもある。特に創造性や精緻さは、ポジティブな感情だと負の影響があることもある。
  • よって感情の「最適なバランス」を実現することが必要である。感情を使いこなしてこそインテリジェント。

と言う話。 

 

「やるぞ(ポジティブ)」と「やばい(ネガティブ)」を高い状態でバランスさせるべし。

先ほどの記事の主張は、個人的な経験と照らし合わせても妥当だなと感じています。

ポジティブ面

そもそもポジティブなやる気がないと話になりません。

メンバーみんながやる気のない状態でいい成果が出るわけないですよね。

義務だから参加するけどできればなくなってほしい文化祭のクラスの出し物、偉いひとの思いつきで始まった朝の近況報告会、などなど、いい成果につながらないものです。

ネガティブ面

一方でネガティブが必要と言う意見も賛成できます。

現状を打開するような革新的アイディアが生まれるのは、たいてい「こんなのできるわけねぇ。やばい。」という引き金になっていることが多いです。「できそう」と思っていたら従来のやり方を続けますからね。

また、期日までにタスクをやりきる、と言うのもネガティブな側面が必要だと思ってます。期日に収めるためには、綿密なスケジューリング、確実な実行、不測事態への対応、などなど、気を使うことだらけです。これを実現できるのは、「上手くいかないかもしれない、やばい」という気持ちが必要だと思ってます。

 

「ストーリー」と「指摘」で、ポジティブとネガティブを喚起する。

では、どうやって「やるぞ」と「やばい」をチームに伝播させるか。そこでマネジメントがすぐにできるのは、それぞれ、「ストーリー」と「指摘」だと思っています。

ストーリー

チームとして共有できるものであり、アクションの目的や理由を示すもの。

人は誰だって意味がないと「思う」ことはやりたくないでしょう。

ただポイントは「思う」と言う点で、どんな事柄にも意味は解釈は事由に付けることができますし、それは人によって異なります。

とすると、どうせやる仕事なのであれば、やる気の出る意味付け、があるほうが気持ちよく取り組めるというものです。

なのでマネジメントの仕事のひとつは、そういったポジティブなやる気を生み出し、またみなで共有できる意味づけ(ストーリー)を繰り返し語る、ということでしょう。

 

指摘

ダメなものはダメと伝えること。

結果的にネガティブな生むことになりますが、それもその先のいい成果を目指してのことです。

よくあるのが、メンバーが自分の基準で仕事ができたと満足しているが、その基準が低い、と言う状況です。

これこそマネジメントの出番です。受け入れられない基準であれば、その旨をきちんと伝えること。これによって、メンバーがこれではダメなんだ、ということを自覚するきっかけを作れます。メンバー目線でいうと、品質基準を示すだとか目線が高い、などといいますね。

マネジメントは品質の番人として当然高い基準を示すことで、その基準まで伸びるように促すのが仕事です。

 

これら「ストーリー」と「指摘」を高いレベルで実践する。これにより、メンバーのポジティブな「やる気」とネガティブな「やばい」を喚起し、結果的に高い成果につながる。これが今回の結論です。

それでは。