技術進歩と人間の仕事

今日はふと読んだ記事の紹介と感想を。

 

8年ほど前の記事ですが、ネットで見かけたので、読んでみました。FREEなどの著作で有名なクリス・アンダーソンの記事です。最近弱火のビッグデータや最近アツいAIや機械学習の到来を予期する内容です。

The End of Theory: The Data Deluge Makes the Scientific Method Obsolete | WIRED

 

要するに、

  • 大量データ解析が科学的アプローチにとってかわる時代が到来している。
  • 科学的アプローチでは、相関する変数を見つけた場合、その因果律を説明する仮説を立ててそれを検証することで、法則として認められる。
  • ただし、ペタバイトレベルでのデータ解析では、仮説なしに変数の相関をコンピュータが見つけ出すことで、新しい法則を発見できる。
  • よって、人間は法則をわざわざ発見しなくても、大量データ解析により科学的発見をしていくことができる。

という内容でした。

 

個人的には、少し誇張というか、先の技術を盲信しすぎでは、という印象を受けました。

確かにデータから意味ある示唆を探すことはコンピュータでできるかもしれません。ただ、そもそも「どのようなデータを分析するか」は人間が決めています。「どう取得するか」もしかり。

「どのようなデータを分析するか」を決めるにあたっては、やはり「こういう結果が欲しい」という仮説が必要になるのではないでしょうか。結局のところ、コンピュータの性能が上がっていっても、そのコンピュータに何をさせるか、はまだまだ人間が決めているということだと思います。

何をさせるか、も含めてコンピュータが全て自律的に実施できて初めて、人間の手による科学的アプローチが不要と言えます。しかしそれはつまり、科学のプロセスである:

  1. 先行研究を把握し
  2. テーマを決めて
  3. 仮説を立てて
  4. データをとって
  5. 検証して
  6. 論文に仕上げる

上記を全てコンピュータが担うということです。こう考えると、この全てを自律的に行うには、まだまだ先なのかな、という印象を持っています。